1992 diary

日常 夜の街 詩 俳句 

この世への旅

もしもオレがあの世にいて、


「もう一度この世に行かせてやる」


そう神様に言われたら。


「年齢は40歳、健康、仕事もある、まあまあハンサム、場所は東京だ。そう設定してやる。楽しんでこい。一度だけだぞ。」


そう神様に言われたら。


きっとオレは喜んでこの世に来るだろう。

そして昼寝なんかしないだろう。

目一杯地球を謳歌するだろう。

本物の愛を見つけに行くだろう。


それなのにオレは何で毎日食って寝て

キンタマやケツをかいてるだけなんだ?

この世にいるのに。


2020年 4月10日 夜の街を想う

今日は久しぶりに出社した。 

仕事柄誰かがオフィスにいなければならない。交代勤務制とはいえこの時期に出なければならないクソ労働に腹が立ち始めている。選択肢の無い己の不甲斐無さにも腹が立つ。


人々の命は言うまでも無いが、俺は夜の街を心配している。社会に出てからいつだって俺を支えてくれた夜の街。


多少収束しても3密で見知らぬ人間との出会いが醍醐味である夜の街にすぐ人が戻るとは思えない。

一度心に巣食ったウィルスの残像を払拭するのは容易ではないだろう。

結局ワクチンが開発されるまでは安心できない。それまでに一体どれだけの時間がかかるのか。どれだけの店が耐えられるのか。


国は夜の街を全力で救うべきだ。

夜の街には夜の街でしか働きようがない人々が多くいる。夜の街でしか癒される事のできない人々が多くいる。


何不自由無く生きている俺でさえこの想いだ。どれだけの人間が夜の街に救われている事か。そしてそれがどれだけ国の平和に貢献している事か。


俺の憂いは募るばかり。


"またいつか いつか輝く 夜の街"


見つかった電話番号

5年前に仲違いしたヤツがいた。

大学時代の親しい友人だったが、

その後は一切連絡もしていない。

たまに思い出して気にはなっていた。

あのメンヘラ野郎は生きてるのかと。

だが連絡先も無くしていたし

もう会う事はないのかと思っていた。


今日屋根裏部屋の古本を整理していたら

ふとヤツの電話番号が出てきた。

荷物を郵送してもらった事があり、

何故かその時の発送伝票が紛れていたのだ。住所とともに携帯番号が書いてあった。


そういや二ヶ月程前にもう一つ似たような事があった。

ヤツと仲違い直前に一緒にとあるバーに行った。その時に店で居合わせた変わった雰囲気の女の子がいた。飲み終わった後にヤツの家でその子について話した事を覚えている。


あの時のその子が歌舞伎町のバーにいたのだ。その店でバーテンをやっていた。すぐには気付かなかったが、どっかで会ったようなモヤモヤ感があり、やがて思い出した。

同時にヤツの事を思い出した。

思わずヤツにメールしかけたがアドレスは消えていた。

過去に未練は無いがなぜか酒は沁みた。


今日、電話番号が見つかった。



故郷

故郷へ帰ると勇気がでるのは、

少年時代の俺に会うからだ。

サッカーをしてた公園で俺に会う。

古いアルバムで俺に会う。

夢に満ちていた俺。

両親に愛されていた俺。

友達に囲まれていた俺。

そいつらが俺に聞いてくる。

あんたは今、輝いているの?

俺は苦笑いで答える。

まあまあ、な。

でもまだ途中だ。もっと輝ける。

戦うからよ。

見ててくれよな。

心配しないでくれよな。

また会いにくるよ。

またな。


真夜中のタクシー

真夜中のタクシーはいいぜ。

新宿で飲んでたら六本木が恋しくなった。

終電はとっくにない。

タクシーを止めて行き先を告げる。

酔いどれでウィンドウ越しに眺める

深夜の街が美しい。

タクシーは街から街へと走り抜ける。

夜の光が流れてゆく。

心が溶けてゆく。

ラジオはかかってない。

でもIggy Popの歌が聞こえる。

この時間だけは東京に泣けるよ。