1992 diary

日常 夜の街 詩 俳句 

酒を飲む理由

俺は何故酒を飲み歩くのだろう。

何故酩酊するまで飲むのだろう。

酒が好きだからって訳ではない。

平日の家では一切飲まない。

酔うのは好きだ。

あの精神が解放される感覚。

代わりになるものはない。

ほろ酔いじゃ解放されない。

酩酊じゃなきゃだめだ。

スポーツはせいぜい体や頭がスッキリする程度だ。精神の解放までには遠く及ばない。

会社勤めや家庭に縛られてりゃ

たまに解放されたくもなる。

だからまあ精神の解放が飲む理由の一つ。

ただそれだけじゃない。

飲むだけなら一人でもできるが、

俺の場合は必ず誰か話し相手がほしくなる。

仕事の愚痴なんかを話す事は無い。

好きな映画や女や音楽やその程度の他愛もないものだ。会話の内容そのものは問題じゃない。だったらなんだ? 過去酔った際の満足度を思い出したら簡単にわかった。

まああれだな、単純に誰かに認めてほしいんだろうな。俺そのものを。俺の存在を。よくゆうSNSでの承認欲求云々とは違うな。もっと肉体的な、目の前の俺そのものを認めほしいような感覚。だからいらねえ本音をぶつけてくる知人と飲む事はいつのまにか無くなり、心地良い言葉を囁いてくる店員と話せる店ばかりで飲むようになった。うん、酒に、酔いに、本音はいらねえ。覚めるわ。消えろ。さて夜の街に溶けようか。